看護師の学歴による違い
看護師になるためには、看護専門学校を卒業するのが一番の近道です。
最近、看護大学が急激に増えています。
看護専門学校を出た看護師と看護大学を出た看護師には違いがあるのでしょうか?
看護師の世界で学歴は必要なのでしょうか。
看護師なるために学歴は必要か?
看護師になるには大前提として厚労省の看護師の国家試験に合格する必要があります。
看護師の国家試験に合格すれば誰でもが同じ看護師です。
看護師の国家試験の受験資格を得るには、
- 看護専門学校
- 看護短期大学
- 看護大学
などで看護教育を履修する必要があります。
しかし、
- 看護専門学校や看護短大は3年制
- 看護大学は4年制、
であり気になるのは学歴です。
- 看護大学での看護師と看護専門学校での看護師には差があるのか?
- 看護専門学校を出た看護師は出世できないのか?
- 看護専門学校をでた看護師は看護大学をでた看護師より下なのか?
看護専門学校に進学して看護師になろうとしている方や、看護専門学校を出て看護師として働いている方は非常に気になるところです。
看護師の学歴について調べてみました。
看護大学が増えている
最近の20年ばかりの間に看護大学が急速に増えています。
この背景には、看護師の教育を4年制にしようという考えもあるのですが、
大きくは少子化に伴う大学学生数の減少に伴う大学の経営上の問題が大きいようで、
医学に関係ない大学での看護学部の増設も目立っています。
看護大学の増加に伴って、看護師国家試験受験者数における大卒者の割合も増え、
2015年度は全受験者のおよそ30%が大卒者だったといわれています。
しかし、看護専門学校や看護大学の定員数を見てみると、
まだまだ、看護専門学校の在籍者が多いのですが、
徐々に看護大学を卒業した看護師数が増えていくと予想されます。
看護師の実務には学歴の違いはない
看護師は免許さえ持っていれば学歴は関係ないという考え方もありますが、これは事実です。
看護師の実務は、医師が患者の診察や治療を行う際に補助をしたり、病気や怪我の患者のケアを行う仕事です。
具体的には、
- 血圧、体温、脈などの測定
- 注射、点滴、採血などの治療の補助
- 食事や入浴、ベッドメーキングなどの患者の身のまわりの世話
ですから、大卒と専門学校卒の学歴の差はありません。
いかに手早く、適切に看護できるかは看護師個人の判断力や適応力などによるもので、大学で勉強したからといって差がつくわけではありません。
ただし、1年間長く看護教育を受けたという事実は変わらず、知識や教養として身についているはずです(真面目に履修して入ればですが、、)。
専門学校で学んだ看護師さんはこの点をしっかりと認識し、足りない分の勉学を行う心がけを忘れてはいけません。
大卒と専門学校卒の場合では初任給に差がつくことはあるようですが、これは仕方のないことでしょう。
しかし、
看護主任への昇進などの際は大卒だという学歴よりも、看護師としての実務実績で評価されるようですから、必要以上に大卒と専門学校卒の学歴の差を気にすることはないでしょうが、
看護師長などの管理職での選抜では大卒が評価されることもあるでしょう。
しかし、看護大学といってもピンからキリまでありますから、大卒だといって安心しては困ります。
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大卒と専門学校卒の違い
看護師の学歴による大きな違いは、
助産師と保健師の国家試験受験資格が得られるということです。
しかし、看護大学でも助産師の課程を設けていない大学もありますし、
専門学校を卒業しても助産師や保健師の国家試験受験資格を得ることは可能です。
大学では助産師の受験資格が得られる
助産師は、分娩時の介護を行うだけでなく、妊産婦を対象に、保健指導や、育児相談を行なったり、産科のある病院や市町村の母親学級で講師を務めたり、相談窓口を担当することができます。
助産師になるためには助産師の国家試験に合格する必要がありますが、
助産師養成課程がある看護大学を卒業すると、看護師と同時に助産師の受験資格も得られます。ただし、助産師になれるのは女性のみです。
3年制の看護専門学校や看護短大を卒業した場合には、看護師の資格を取得後、助産師養成所に1年間通学し、助産師国家試験の受験資格を得る必要があります。
しかし、全ての看護大学が助産師の教育課程を設けているわけではなく、最近は助産師の課程を設置しない大学が増えているので注意が必要です。
保健師の受験資格
保健師とは、一般企業で社員の健康管理・指導に携わったり、学校の養護教諭(保健室の先生)や、市町村の保健センターや都道府県・政令市の保健所などの行政関連に勤務し保健衛生の管理業務に携わる人です。
保健師の国家試験に合格する必要があります。なお、市町村や都道府県の保健所などに勤務するには地方公務員の資格も必要になります。
保健師の免許を得るには大前提として看護師の資格が必須ですが、保健師の教育課程を設けている大学では、看護師と保健師の国家試験の両方の受験資格を得ることができます。
3年制の専門学校や短大を卒業した方は、看護師の資格を得た後に1年制の保健師養成学校に通うことによって受験資格を得ることができます。
認定看護師に学歴は必要ない
認定看護師とは、特定の看護分野(21分野)において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる看護師として認定を受けた看護師のことです。
詳しく読む ⇒ 速報|2017年認定看護師・認定結果
認定看護師には大卒、専門学校卒の区別はありません。
認定看護師に認定されれば、3年制の専門学校や短大を卒業した看護師でも大卒の看護師よりもスキルは上だと認定されるわけで、
3年制の専門学校や短大を卒業した看護師の大きなスキルアップになります。
専門看護師は大学院終了
専門看護師とは、日本看護協会の専門看護師認定試験に合格した看護師で、
より質の高い看護を提供するための知識や技術を備えた特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する看護師のことです。
残念ながら、
専門看護師の受験資格は、
- 大学院の修士課程を修了
- 実務研修が5年以上(3年間以上は専門看護分野の実務研修)
と、大学院の修士課程を修了した人に限られます。
2017年12月時点で全国に2,104名しかおりませんので、ちょっと特殊な資格といえるでしょう。
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専門学校卒でも大卒の資格を得られる
最近では、キャリアアップのために短大や専門学校卒の看護師が大卒の資格取得を目指すことも珍しくはありません。
看護師として実務経験を積まれていれば、受験勉強をしなくても学士を取得する方法があるのです。
放送大学へ入学
放送大学はテレビ放送による講義とスクーリングといわれる集中講義によって履修し、必要な単位を取得すれば大学卒業の資格を取得することができます。
看護業務を行いながら受講することは体力的にも非常に辛いことですが、
看護師としてキャリアアップしたいと思うのであれば、放送大学で大卒の学歴を取得することも可能ですし、
医療機関によっては就学を支援しているところもありますので挑戦したらいかがでしょうか。
大学評価・学位授与機構への申請
大学評価・学位授与機構は大学以外で学位を授与する国内唯一の機関として平成3年に創設された機関です。
短期大学卒業者や高等専門学校卒業者で、
一定の基礎資格を満たせば学士を申請することができ、審査や試験に合格すれば、大学卒業の資格である学士の学位が授与されます。
基礎資格は短大か専門学校を卒業したか、大学に2年以上在学して62単位を取得している人です。
看護師としての実務経験は、学修成果レポートを書くために不可欠な経験となり、看護師の学歴の壁を実務経験を活かして乗り越えることができます。
大学に編入する
看護師の資格を取得後に、大学の3年次に編入学することも可能です。
専門学校や短大での教育期間にプラスして2年間学ので、学ぶ期間は長くなるのですが、大卒の学歴と幅広い知識を身につけることができます。
看護師の評価は、看護業務が評価され、学歴によるものではありません。
看護師に大卒と専門学校卒の学歴の差はほとんどありません。
学歴の差は貴女の努力でいくらでもカバーできる程度です。
どうしても学歴が気になるのなら大学に進学した方が良いでしょう。
しかし、依然として3年制の看護学校を卒業した看護師が大半を占めていますから3年、4年と気にする必要はありません。
看護師としての技量は看護技術です。
そして、認定看護師制度などでスキルアップする方法はいくらでもあるのです。