看護師の夜勤では心臓病やがんのリスクが上がる

看護師の仕事では夜勤はつきものです。

2交代シフト、3交代シフトなど医療機関によって多少の差があるものの、夜勤は必須です。

シフト勤務では、どうしても生活が不規則になりがちなものです。

生活リズムの乱れは糖尿病や肥満などの生活習慣病の原因となります。

さらに、最近のアメリカでの報告では、

夜勤歴の長い看護師では、心血管疾患肺がんなどのリスクも高くなるというのです。

看護師にとって夜勤は避けられないことですが、

食事内容の見直しや充分な睡眠でできるだけリスクを回避するように務めて下さい

 

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看護師の夜勤では心臓病リスクが高くなる

看護師の仕事は、3交代シフト、2交代シフトと医療機関によって多少は差があるものの、夜勤は必須です。

日勤、準夜勤、夜勤と繰り返されるシフト勤務では、どうしても生活が不規則になりがちなものです。

生活のリズムが不規則になるということは、

  • 食生活が不規則になる
  • 睡眠が不規則になる

ということで、食生活と睡眠の不規則は、いわゆる生活習慣病などを引き起こす原因になります。

先日、看護師のシフト勤務は糖尿病を引き起こしやすい、ということをお知らせしましたが、

さらに、

看護師の夜勤は心臓病のリスクを高める

という報告もあるというのです。

 

この論文は、The Journal of American Medical AssociationAmerican Medical Asociations(米国医師会誌)に掲載されたものです。

Association Between Rotating Night Shift Work and Risk of Coronary Heart Disease Among Women

Conclusions and Relevance
Among women who worked as registered nurses, longer duration of rotating night shift work was associated with a statistically significant but small absolute increase in CHD risk. Further research is needed to explore whether the association is related to specific work hours and individual characteristics.

詳しく見る ⇒ 原著論文 : JAMA. 2016;315(16):1726-1734.

 

この研究は、アメリカのハーバード・メディカル・スクールの研究グループが、アメリカの看護師の健康に関するデータベースである「Nurses’ Health Studies」(看護師健康調査:NHS)における、NHS-1とNHS-2の結果を分析したものです。

  • NHS-1は、1988~2012年に実施され、登録看護師数は7万3,623人(開始時の平均年齢54.5歳)
  • NHS-2は、1989~2013年に実施した、登録看護師数は11万5,535例人(開始時の平均年齢34.8歳)

という、大規模疫学調査です。

 

調査項目は、

  1. 通常勤務に加えて月に3日以上夜勤がある看護師
  2. 通常勤務だけで夜勤がない看護師

について、

  • 24年間に亘り心臓病の発症を追跡調査

したのです。

なお、主要評価項目は冠動脈心疾患(CHD)の発生ですが、非致死的心筋梗塞、CHD死、狭心症、冠動脈バイパス術、ステント留置、血管形成術などの疾患も含んでいます。

その結果、

24年間の追跡期間中に発生した心疾患は、

  1. NHS-1 : 7,303件
  2. NHS-2 : 3,519件

で、

夜勤と心疾患の関連については、

NHS-1では、

  1. 夜勤のある看護師は勤務年数が長くなるにつれて心臓病のリスクがわずかに増加
  2. 夜勤歴が5~9年では心臓病のリスクが1.12倍
  3. 夜勤歴が10年以上では心臓病のリスクが1.18倍

NHS-2でも、

  1. 夜勤歴が5年未満では心臓病の発症リスクに差がない
  2. 夜勤歴が5~9年では心臓病の発症リスクが1.12倍
  3. 夜勤歴が10年以上では心臓病の発症リスクが1.15倍

 

さらに、

NHS-1においても、NHS-2においても、

夜勤を止めると時間が経過するほど心疾患のリスクが低下したそうです。

 

このように、夜勤歴が長くなるほど、心臓病のリスクが高くなるようです。

夜勤は看護師の勤務にとって避けられないことですが、夜勤の勤務歴が長くなるほど心疾患のリスクが高くなることを念頭に置いて、食事、睡眠、運動などに気を配った生活が必要でしょう。

 


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看護師の夜勤で肺がんのリスクが上がる

看護師の夜勤により、

という、気になる報告があるのですが、

さらに、

 看護師のシフト勤務は肺がんのリスクを高める

という報告もあるのです。

この研究は、アメリカの国立がん研究所とハーバード大学の共同研究グループによるもので、2015年にAm J Prev Med.に掲載されました。

 

Total and cause-specific mortality of U.S. nurses working rotating night shifts.

CONCLUSIONS:
Women working rotating night shifts for ≥5 years have a modest increase in all-cause and CVD mortality; those working ≥15 years of rotating night shift work have a modest increase in lung cancer mortality. These results add to prior evidence of a potentially detrimental effect of rotating night shift work on health and longevity.

詳しく見る ⇒ 原著論文:Am J Prev Med. 2015 Mar;48(3):241-52

 

この研究でも、先にご紹介した、看護師健康調査を解析したものです。

  • がんや心臓病などのない看護師7万5,000人を対象に、
  • 月に3日以上の夜勤従事者を、
  • 22年間に亘って追跡

したのです。

1988~2010年の22年間の追跡期間中に、

  • 対象者のうち1万4,000人が死亡

したのですが、

  1. 心血管による死亡 : 約3,000人
  2. がんによる死亡 : 約5,400人

であり、

夜勤と死亡原因について解析したところ、

夜勤歴が6~14年の看護師は、

  • 死亡リスクが11%高い
  • 心血管疾患のリスクが19%高い

夜勤歴が15年以上の看護師は、

  • 心血管疾患のリスクが23%高い
  • 肺癌のリスクが25%高い

ということが分かったというのです。

なお、がんについては肺がん以外のがんとの関連性はなかったそうです。

この結果について、

研究グループは、

1日は24時間の周期で成り立っているが、夜勤やシフト勤務で睡眠や心身のリズムを崩すことが原因だろうと述べています。

 

看護師の仕事は、病人の命を助けるのが仕事です。

しかし、皮肉なことに、

夜勤歴の長い看護師では、心血管疾患肺がんなどのリスクも高くなるというのです。

看護師にとって夜勤は避けられないことですが、

食事内容の見直しや充分な睡眠でできるだけリスクを回避するように務めて下さい。

 


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